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世界は変わった。

 

2019年12月に東京都で発生した未知のウィルスによる新型感染症は瞬く間に全国に広がり、致死率40%というエボラ出血熱を上回る高い数字を示した。

 

海外への出入国も制限され、特に感染者の多かった東京都へと続く幹線道路は封鎖された。

 

つまり、首都封鎖である。

 

効果的な治療薬もないまま、感染は一般市民から医療従事者、警察官や自衛隊員にも広がり、ついには国家中枢にも到達した。

 

時の内閣総理大臣と官房長官、厚生労働大臣など主要官僚が相次いで感染し、帰らぬ人となった。

 

その頃には、国内の死者数は20万人を超えていた。

 

厳戒態勢の中、急造の新政府が立ち上がり、新たな内閣総理大臣には、新型感染症への治療法を発見し、多くの重症者の命を救った元感染症の専門医だった人物が抜擢された。

 

新総理は、次々と新型感染症への対策と経済対策を打ち出し、そのどれもが成果を上げた。

 

感染者数は、目に見えて減っていった。

 

やがて、猛威を振るった新型感染症は終息した。